シナリオ:夏祭り 
男性:1 女性:2
登場人物

■トオル(17歳)マキの幼なじみでマキの事が好き。優柔不断。
■マキ(17歳)ちょっと強気な女の子。トオルの事が密かに好き。
■ユウコ(16歳)マキの親友。2人の事を見て楽しんでいる。しっかりモノ


<1>なにやら教室で話し込んでいるマキとユウコ

ユウコ   「(大げさに)はぁ?ちょっとどういうことよ。」

マキ    「(慌てて)ユ、ユウコ、声大きいよっ!」

ユウコ   「声大きくもなるわよ。ねぇ、マキ、あんたまだトオルの事誘ってなかったの!?」

マキ    「(むすっと)・・・誘ってないわよ」

ユウコ   「マキ、どうすんのよ。今日の夏祭り、あんた浴衣も新しいの買ったんでしょ?
       ・・・まさか、トオルが誘ってくるの待ってたの!?」

マキ    「(ギクッとして)べっ・・別にっ!!」

ユウコ   「(ため息ついて)はぁ〜・・・あきれたわ。いつも強気なマキちゃんが
        トオルの事ではこんなにしゅんとしちゃうなんて、モノも言えないわよ?
        あのぽや〜っとして優柔不断なトオルが
        リードして誘ってくるわけないことくらい
        幼なじみであるあんたが一番知ってることでしょうが!」

マキ    「わ、わかんないじゃない、そんなこと・・・」

ユウコ   「じゃあ、現に今、あんたは何でそんなに悩んでるのよ?」

マキ    「そ・・・それは」

ユウコ   「マキ!あんたがちゃんとしないと、この恋は進まないわよ?」

マキ    「え・・・?そ、そんなこといったって・・・」

ユウコ   「いいから何気なくあんたから誘いなさいよ!
       今日、あんたはトオルと行くんだからね?あたしは一緒に行かないよ」

マキ    「ユウコ・・・」

ユウコ   「ほれ、そうと決まったらトオルと話してきな。」

マキ    「でももう鞄ないし・・・帰っちゃったかも・・・」

ユウコ   「(またため息ついて)多分玄関であんたの事待ってるんじゃない?」

マキ    「え・・・ど、どうしてよ?」

ユウコ   「そのくらい自分で考えなさい!ほれ、早くしないと帰っちゃうわよ!」

マキ    「う・・・うん、解った!私から誘ってみる、ありがとう、ユウコ!」

<2>   マキ、鞄を持って教室から出て行く。

ユウコ   「(優しくため息ついて)ホント、あの二人気が付いてないのかしら。
       端から見ると、バレバレだと思うのになぁ?
       (ふふっと笑って)マキ、頑張れ」

<3>   ばたばたと走る音。玄関にマキが着くと、そこにはトオルの姿が。

マキ    「(驚いてぼそっと)・・うそ・・・ほんとにいるし・・・」

トオル   「(マキに気付いて)よ・・・よう」

マキ    「(はっとしてつっけんどんに)ど、どうしたのよ」

トオル   「いや、お前くるの待ってた・・・。んだけど・・・、まずかった?」

マキ    「(嬉しいのと裏腹に)べ、別に・・っ?いいけど」

<4>  蝉時雨。暑い夏の日。予備校の帰り道、2人で歩いているトオルとマキ。

トオル   「(聞きにくそうな感じで)なぁ・・・ちょっとききたいことあんだけどさ。」

マキ    「(関心なさそうに)なぁに〜?」

トオル   「・・・お前さ、もうちょい、ちゃんと話聞こうとしろよ」

マキ    「はぁ〜?いきなりなんなのよぉ、ちゃんと聞いてるじゃない?」

トオル   「(ぼそっと)それが聞く態度なのかよ・・・・」

マキ    「(わざとあきれ気味に)あのねぇ、小学校からずっと同じ学校で、
       家が隣でほとんど毎日会ってんのに
       何を今更、あんた相手に真面目になんなきゃなんないのよ」

トオル   「確かに・・・そうなんだけどさ・・・」

マキ    「(思い出したように)あ!そうだ!!」

トオル   「(あきれて)・・・なんだよ・・・・」

マキ    「(嬉しそうに)ね!今日、隣町の夏祭りじゃない!?」

トオル   「(ドキッとして)あ・・・ああ、そうだった・・・っけ・・・?」

マキ    「(かなりわざとらしく)そうだって!あ〜、すっかり忘れてた・・・
       どうしよう、誰か誘っておけばよかったよぉ」

トオル   「(ぼそっと)誰も誘ってないんだ・・・」

マキ    「(本当に聞こえてない)は?何かいった??」

トオル   「い、いや!なんでもない」

マキ    「今日のトオル、何かへんなの〜。
       でも、どうしよっかな、お祭り行きたいし・・・。
       ね・・・トオル、一緒に行く?」

トオル   「えっ!?」

マキ    「やだ、そんなに驚かないでよ。何か用でもあった?」

トオル   「いや・・・別にないけど」

マキ    「(明るく)じゃあ、決まりね!夜7時、家に迎えにきてね♪
        じゃ、私急いで帰るから、また後で!」

<5>   ばたばたと走って帰ってしまう、マキ。
トオル   「(大きくため息つく)はぁ・・・マキのやつ、
       俺が誘おうとあんなに悩んでたのに、あっさり誘いやがって・・・。
       今まで悩んでいた俺って何なんだろう・・・。
      (ふっと吹っ切るように)ま、いいか!
      (張り切って)よし!今夜は2人で夏祭りだ!!」

<6>   その頃マキは携帯をいじっていた。ベル音が響く。

ユウコ   『(電話の向こうから)もしもし?マキ?」

マキ    「(興奮して)ユウコ!!誘った!!誘えたよ〜〜〜!!」

ユウコ   『ホント?良かったね!今日は楽しんできな!』

マキ    「うん、うん、嬉しい〜〜!あ〜どきどきするぅ」

ユウコ   『(笑って)わかったわかった、明日報告待ってるから。』

マキ    「うん、ありがとユウコ、じゃ、また明日ね」

ユウコ   『(モノ)多分明日、マキはきっと幸せな顔をしていると思う。
        ホント、手の焼ける二人なんだから。
        でも、本当に幸せになってほしいと思ってる。
        ほんの少し勇気は必要だけど、きっと変わるって良いことだから
        恋のチカラは偉大なんだね。』

                                     FIN

    Copyright (c) 2003 BY mika*outsuki All rights reserved. update 2003.12.10