シナリオ2:チョコレート 
男性:1 女性:1
登場人物

■姉(18歳)何かにつけて不器用だけど、可愛い性格の持ち主。
■弟(16歳)不器用な姉を心配している出来た弟。ある意味シスコンかも。(笑)
SE  とんとんとんと、包丁の調子のいい音。ふと、その包丁の音が止まる。
    (明るめの曲ON)

弟   「・・・で、こんな風にしてチョコを刻むわけ。
     とりあえずここまでやってみて。」

姉   「(緊張気味に)う・・・うん・・・・わ、わかった」

弟   「姉貴、手なんか間違っても刻むなよ?」

姉   「(ちょっと怒って)う、うるさいわねぇ、
         そんなことするわけないでしょ」

弟   「(苦笑して)はいはい、ほらやってみて」

姉   「(大きなため息を一つ・気合を入れる)」

SE  不器用にとん・・・とん・・・と刻み始める。

弟   「なぁ・・・姉貴」

姉   「(手を動かしながら)なによ・・・」

弟   「何で急に彼氏に手作りのチョコなんかあげようと思ったの?」

SE  がたがたがたっと物が落ちる音。

弟   「(慌てて)なにやってんだよ!チョコがおちちゃうとこだったろ」

姉   「(慌てて)あ、あんたが急に変なこと言うからでしょ!」

弟   「別に変なことじゃないだろ?
     だって姉貴料理苦手でしようとすらしなかったじゃん。
     今までは彼氏にさも自分が作ったようにみせかけて、
     この俺が作ってやったのにさ。
     今回はどういう心境の変化なのか、気になるだろ。」

姉   「(ごまかし)い・・・いろいろあるのよ」

弟   「色々ってなんだよ?」

姉   「な、何であんたにそんなことまで言わなきゃなんないのよ」

弟   「こうやってチョコ作るの教えてやってるだろ?
     そのくらい聞いたっていいじゃんか」

姉   「(ぐっと詰まって)・・・それは・・・そうだけど・・・」

弟   「だろ?何かあったの?」

姉   「・・・・笑わない?」

弟   「笑うようなことなの?」

姉   「いいから、笑わない?笑ったら殴るからね!」

弟   「はいはい、分かりました!で、何でなの?」

姉   「(小さくぼそっと)・・・この間・・・」

弟   「何言ってるかわかんないよ」

姉   「(大きな声で)この間!調理実習があったのよ・・・
     その時に私が作ったプリンが・・・爆発して・・・」

弟   「(あっけにとられるカンジ)・・・プリンが爆発・・・」

姉   「その爆発したプリンを・・・本当はあげる約束をしてたのよ。」

弟   「え・・・じゃあ、どうしたんだよ、その後」

姉   「数が足りなくてあげられないって嘘ついた。
     でも・・・彼は本当に楽しみにしていたみたいでさ・・・。
     何だか、ちょっと罪悪感を感じたの。だからこれはお詫びのチョコ。」

弟    「・・・ふうん・・・そうだったんだ」

SE   また不器用に包丁の刻む音(姉の台詞の間中ON)

姉    「・・・なんでかなぁ、あんたって昔から器用でさ。
      料理や家事なんかも上手だったりするじゃない?
      ま、私も面倒くさがりなのがいけなかったんだけどさ、
      全くこういうの苦手になってて。
      いつもあんたに頼ったりしてたけど・・・。
      私も2ヶ月後にはこの家を出ることになったし、
      いつまでもあんたと一緒にはいられないんだからって
      思いなおしたのもある。」

SE   トン、と包丁の音が止まる。(ここでOFFです)

姉    「(弟に笑顔で)あんたにいつも甘えててごめんね。
      それと、ありがと。感謝してる。」

弟    「・・・姉貴」

姉    「(照れて)ほら、刻み終わったわよ。で、どうしたらいいの?」

弟    「(はっとして)ああ、じゃあそのチョコをこっちのボウルに移して」

姉    「手で掴んでいいの?」

弟    「(ちょっとため息気味に)・・・手で掴んだら溶けるだろ?
      まな板ごともって、包丁を使ってボールに落とすの。」

姉    「なるほど・・・。」

弟    「(くすくすと笑いながら)姉貴ってほんと、面白いよな〜・・・」

姉    「え?なんか言った?」

弟    「なんでもない。ほら続きやるよ、ちゃんと覚えてね」

姉    「(にっと笑うカンジで)分かってるわよ!」

弟    「おお・・・こわっ」

姉    「(むっとして)んもう、私だってね
      言われなくたってちゃんとできるんだからっ」

SE   次の瞬間、ボールを突然直接火にかける姉。

弟    「(慌てて)あっ、姉貴!!ちょっと!!」

姉    「(驚いて)えっ?あ・・・きゃあ!!」

SE   ボールが転がる音。(からんからん・・と回るような音です)

弟    「(怒って)あ・・・・・
       あのな、そのままボールを火にかけてどうするんだよ!
      火傷するだろっ!」

姉    「え・・・あ・・・そっか・・・・」

弟    「(気が抜けて)あ、そっかって・・・・
      (ふと笑い出す)ふふ・・・あはははっ」

姉    「(むうっとして)・・・そんなに笑わなくたっていいじゃない」

弟    「(笑いながら)だって、普通しないだろっ・・・
      あはは・・・あは・・・腹いて〜・・・」

姉    「あ〜あ・・・もう〜・・・チョコが飛んでる〜・・・
      また作り直さなきゃ。
      ほら!笑ってないでやるよっ」

弟    「え、またつくんの?!・・・もう止めたら??」

姉    「作るの!やるの!!あんたはもう一回ちゃんと見てなさい」

弟    「はいはい、付き合いますよ・・・(苦笑して)しょうがないなぁ」

SE   徐々に音楽OFF。
                                              FIN


 
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